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大正×対称アリス HEADS&TAILS 猟師編 感想 [大正×対称アリス]




学園アリス編が終わったので、今度はしんどいと評判のオオカミ編&猟師編にとりかかりました……が!!

しんどい……。

しんどいというか、うん。

FDにきてさらに「ヒロインェ……」となるのは、対アリくらいかもしれませんね(笑)
有栖百合花という女性については、とても大好きなのですが……今回、オオカミ編も猟師編も、かれらが「有栖百合花」とどう見ていたか、ということに焦点があてられたシナリオになっているので、どうもな……どうも……キツいわ……。

まあでも、あのスペックで、性格まで聖母のようだったらそれはそれでちょっと微妙なんで、私は大好きですけどね!!!!

というわけで、ぽろっとネタバレしてしまう前にネタバレ感想いっきましょー!!!
続きからどうぞ!




正直、もう最初から、ぼろぼろぼろぼろ、ずっと涙を流してやったのは猟師編でしたね。
本編では完全にサブキャラクターだった猟師さん。でも猟師編は、彼の視点から「アリステアと百合花」をひも解くというスタンスではなく、彼の人生そのものが綴られていた。だからこそ、こんなにも切なく感じたのだと思います。

・コンプレックスと「甘え」に苛まれる高校時代

彼の視点からみると、彼がいかに有栖百合花という妹に対して複雑な心境だったかがわかって、ものすごく胸が痛みました。
おそらく「有栖家」の環境が、彼を子供のままでいさせてくれなかった。
きっと、同年代の子供よりも精神的に成熟するのが早かった彼に、誰もが甘えた。本当は心のなかに、たくさんの葛藤と劣等感と、思春期特有の苦しみを抱えていたのに、それをどうにか抑え込むことが出来ていた彼に、有栖家の誰もが甘えてしまった。その、のしかかられるような「甘え」に呻きながら、逃げるようにして彼が家を出たのは当然だと思いました。

お兄ちゃんはお医者さんに向いてると思う。

そう、笑顔で言い切る妹に「わかったような口をききやがって」と心中で毒づく諒士さん。このシーンは、半分は“白雪”と“百合花”の審美眼というか、人を見る目が似ているところを示すところではあるとは思うのですが、本編でほとんど心情を吐露しない諒士さんの、地の文で曝け出された本音に、どきっとしたのは言うまでもありません。

すべて、わかっていると思うんです。
おそらく妹はお世辞じゃなく本心で言ってる。さらには(小賢しいと思っていそうだけれども)兄と良好な関係を築きたくて、一生懸命彼女なりに努力をしているということもわかってるんですよね、諒士さん。
それでも、それでもやっぱり、心では「俺の気も知らないでお前は……ッ!」ってなるところはものすごく人間だし、高校生として等身大だし……親の期待を一身に受けている妹に対して、複雑な表情をしてしまうのは、すごく、すごく理解できました。

そんな中でも、彼は「有栖家」を、最後の最後のところで瓦解させないように、いつもいつも泣き虫でどうしようもない百合花を笑顔にするために、頭を撫で、飴を差し出す。
その姿は、高校生時代から、ものすごく大人びていて、むちゃくちゃかっこよかったです。


・白雪との出会い 白雪との別れ

白雪との出会い、そしてあの例の遺体発見に至るまでのシーンをお兄ちゃん視点から見られたのは、本当に良かったですね。
白雪にとっても大切な邂逅でしたが、諒士にとっても、この出来事が医者としての「有栖諒士」を形作るための礎となったことがものすごくよくわかりました。本編だけプレイしていると、もっと諒士は研修医として……というか、医療従事者として成熟していたのかなと感じていましたが、彼はこの時、本当に進路やこれからの生き方を決めあぐねている等身大の大学生だったんですね。
「彼を救いたい」という気持ちで白雪に接していたのではなく(もちろん心配していて放っておけないというところもすごくあるのでしょうけれども)単純に彼と一緒にいる時間を心地よいと感じていた、白雪との出会いの中で何かを見出そうとしている節も見られて、正直「相手が女の子だったら確実に白雪ルート入ってたな……」っていう設定だなと思いました(笑)

血を見るだけが医者じゃない。
諒士は医者に向いているよ。

もう二度と会えなくなる瞬間に、諒士の迷いを払拭するような、彼が欲しかった言葉を残す白雪に対して、自分の不甲斐なさと、後悔と、罪悪感と……すべてが押し寄せてくるように嗚咽する諒士の姿は、吐きそうなくらい涙を誘いましたね。
このシーンを受けての、クリスマスイブに猟師が見る夢ですか。
なんですか、アレ……もう……なんなんですか……。

例えこれが夢だとしても、俺は。
俺だけは会いたいと願ってはいけない。
白雪に「行くな」と言ってはいけない。

白雪に背中を押されて、導かれた「療士」としての道。
それから決して目を逸らすことなく、「メリークリスマス」と白雪に夢の中で飴を握らせる諒士さんは、ものすごく切なかったと同時に、かっこよかったです……。

・諒士だからこそわかる「有栖百合花」の異常さ

本作、猟師編では、兄である有栖諒士が、最も注意深く観察しているのがアリステアではなく、有栖百合花という少女だったということがわかります。

きっと、誰よりも。
親よりもアリステアよりもオオカミよりも、他の誰よりも、最も妹の異常さに気づいていたのが彼だった。
それは、諒士だけが、精神的安定のために、アリステアが百合花を必要としているわけではなく、百合花がアリステアを必要としているという構図でこの物語を見ているからなんですよね。

これは本編でも読み取れるところではあるのですが、諒士側から読むとそれがひしひしと伝わります。
容姿端麗な上に聡明で、非の打ち所がない、完璧なお姫様である有栖百合花。
しかし、その内面は、白馬の王子様との再会に夢みるただの少女です。
夢を見させてもらえなかった、幼い頃から現実をみつめて生きてこざるをえなかった兄と、夢を見ることで、お姫様な自分を演じることで現実から目を逸らして生きてきた妹。

親の愛に飢え、奇異の目から怯え、常に自分を閉ざしてきた百合花の根本が、成長したからといって変わるわけがないんですよね。
彼女の瞳は今も昔もずっと、あのきらめくような夏の日々をみつめている。
それが、おそらく諒士にとってはもっとも危惧していた部分で、前を向いて治療を進めようとしているアリステアより、よっぽど危険に感じていたところだったのだろうと思います。

正常だ、異常だ。
確かに、そういうことで人は括れるものではありません。
アリステアはDIDという極めて特殊な精神病を患っていますから、ある意味で異常であるかもしれません。しかし、諒士は療士として、しっかりと他人格を各個性として認め、アリステアはアリステアとして接していることがこちら側からみるととても良くわかります。

しかし、百合花に関しては違う。
あのアリステアに対する拘りようは、大人であればあるほど恐ろしく感じたのではないかな。あまりに感情の種類が幼いというか。
別視点から見れば見るほど、あれは狂愛に近いです。
ひとりの男に入れ込むことは、もちろん一途だから悪いことではないし、美しい純愛だと思うけれども、百合花のアリステアに対する想いは、大人から言わせると「愛」ではない。諒士は「依存」だという言葉を使っていましたが、個人的な感覚としてはもっと重いような気がしますね。
きっと同じ男として、アリステアに同情していた部分もあると思います。
それは、カウンセリング風景で感じることができますが……。

だから、グレーテルのいろいろで一気に落ち込んだあと、百合花が頭おかしくなったかのように兄に甘えはじめる。ふたりが再会したことで、アリステアも壊れたけど、百合花もまた壊れていたことの証拠でもあるような感じがしますよね。もうめろめろになった精神状態でぱっと放されたら、アリステア以外の誰かに依存せざるを得なくなるんだろうね。

甲斐甲斐しく兄の世話をしている素敵なしっかり者の妹に見えて、その若干兄妹の線を超えたような“新婚ごっこ”的な触れ合いにも何も言わず、甘んじて受けていれるお兄ちゃん。
あの出来事の背景に、こういうシーンがあったのだと知ると、やはり有栖百合花という少女はとてつもなくアブなかったんだなあと。だからこそ敏感なアリステアが、自らの死も顧みずに薬を飲んだのが、分かる気がしましたね……。


こうして裏側を見ていると、「ヒロインが王子様たちを救うおとぎ話」というのは本当に表側で、「本当の有栖百合花」はいかに、諒士、大神、アリステアの3人に支えられて立っていたのかということがよくわかりますよね。
やっぱまごうことなきヒロインだわ……。

それにしても、諒士さんのことは誰が幸せにしてあげるんでしょう……。
保護者として、彼らの未熟で、歪で、綱渡りな恋物語を見守る仕事に一区切りついたら……ぜひいい人みつけて結婚してください……諒士兄ちゃん……!!!!!

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