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月影の鎖~狂爛モラトリアム~Vita版追加要素 感想 [月影の鎖-錯乱パラノイア-]





月影の鎖~狂爛モラトリアム~ - PS Vita

月影の鎖~狂爛モラトリアム~ - PS Vita

  • 出版社/メーカー: 拓洋興業
  • メディア: Video Game




新年一作目ノベルゲームは、こちら!!

月影FDの移植です!!!

ちょっと発売は前なのですが、ずっと寝かせてました……ごめんなさいね、残月島のみんな。

移植版なので、PSPの部分の感想は割愛させて頂きますが、PSPもってて月影大好きだよー!という方にはぜひぜひおすすめしたい。


買って損はありません。

追加キャラクターも二人ともとても自然にこの世界に溶け込んでいますし、なによりも花柳街アナザーですよね。
あそこの依存の方考えた人は頭おかしいんじゃないかと思うくらいに酷い

あ、褒めてるんですよ。
どれだけ彼らを追い詰めたら気が済むんだろう……FDなのに……。
乙女ゲームでFDっていったら、甘々いちゃいちゃが鉄板じゃないの!?
ねえ!
ねえ、答えてよ!!
そんなタクヨーさんが大好きです!!!!!!!

相変わらず妖艶に和小物のモチーフを使うのが巧いし、本当に文章が綺麗で上品ですね。
だからこそ、島の澱んだ雰囲気であったり、花街の厭らしい空気であったりが際立っていて、やはり素晴らしかったです。

ただ、若干今作品も(確か前もなんだけど)音質が悪い……なあと。
Vitaだからもうちょっとだけ音質をなんとかして欲しいなあと思う次第でございました。
でも、オマケ部分にこれまでの特典音源とか、カウントダウンボイスとか、ラフ画とか雑誌絵とか、ぜーんぶ入れてくれるのはさすが太っ腹ですね!!
そういうところも大好きです♡
そのあたりは大満足なFDでした(*´ω`*)

それでは。
内容についてはネタバレ満載の続きから!
よろしければどうぞ☆








☆藤堂兄弟ルート

FDから追加になった藤堂兄弟ですが、ものすごく自然にやってきて、ものすごく自然にめぐみさんと恋愛してました……!!
なんてナチュラルにこの世界に入り込んでくるんだ……!!

残月島というところに鎖で縛り付けられた彼らとは違って、外からやってきた、島に染まらない価値観を持つ彼らだからこその恋愛ルートが繰り広げられていて、ものすごく楽しめました(^^)

島の立て直しを依頼された、新進気鋭の実業家藤堂兄弟は、やる気に満ちた表情で島にやってきます。しかし、彼らは島のためにというよりかは、ビジネスチャンスのひとつとしか考えていません。どうやって、この島のリソースを使って「藤堂呉服」をさらに大きくするか。
それが真の目的であることを知っているのは、そのことを盗み聞いてしまっためぐみさんだけなのでした、というところからお話が始まります。

が。

まあ、この最初の件は、実業家なら当然というか、そもそもビジネスとして依頼されている時点で慈善事業じゃないんだから当たり前の話よね、みたいな感じはするのですが、藤堂兄弟の言葉選びがいまいち穏やかじゃないからですかね(笑)なんか不穏な雰囲気なんですよね。


・藤堂雅

個人的に、非常にすかっとした性格で大好きなタイプですね!名言もたくさんあった。
自らの価値というか、存在意義にいろいろと悩んでしまう人には、刺さる言葉もたくさんあったんじゃないだろうか。

本土では知らぬ人がいない藤堂呉服を一代でここまでにした雅は、自分のセンスが選ぶものに対しての迷いがない。そして、その選択に対して後悔をしない。
だからこそ、その選択をする時には決して妥協をしない。

その徹底した姿勢こそが、経営者としての器の大きさを示しているようであり、彼の妄執を示しているようでもある。そこが面白いところですね。
めぐみちゃんにとっても、彼との出会いは自らの凝り固まった価値観を変えていくきっかけになったけれども、彼にとっても同様なんですよね。
決して理解しようとしなかった両親のことを、めぐみちゃんを通して見つめ直していく雅の態度が、だんだんと軟化していくのは素敵でした。

恋愛ストーリーとして、というよりも、藤堂雅という人が好きですね。
最後も、すっぱり自らの見通しの甘さを認めて本土へ帰っていくところとかもすごく好きです。神楽坂さんのためにひと肌脱ぐところもとても人として出来ているなあと。
全く違った価値観をもった二人が触れ合いの中で少しずつ距離を縮めていくストーリーは最近では本当にお目に掛かれないので(笑)それだけで普通に楽しかったです。

あと、下世話だけど一番この中の誰よりも玉の輿なのは、このルートかもね!!!!(笑)
白無垢姿のめぐみさん美しーーーい!!

依存は相変わらず背徳感満載。
ハッピーの方では花嫁として着ているそれを、こちらでは情事のおもちゃにつかってしまうという……やつですが。
まあ有り体にいえば、花嫁衣裳に身を包んだ女を汚すって最高だろ?的な感じなのではありますが、この二人はそこから心中してしまう……という時点でもうなんかアレ。
個人的には、この藤堂ルートは短いので、どうしてもそこまで追い込まれている感じはないのですが、藤堂兄弟自体がもうすでに限界まできている、という感じはどことなく読めますので、それに感化されるように、いつでも死ねそうなめぐみさんが死を選ぶのはもうそりゃ必然ですわね(笑)

死ぬから、歩みを止めるのか。
歩みが止まったから死ぬのか。

こういうところが、ある意味で危なっかしい。
そんな雰囲気があった雅ルートなのでした。


・藤堂樹

こちらのルートは新しい価値観にめぐみさんが感化されていくという意味合いではなく、「兄」に囚われ続けている妹と弟の物語として、描かれていましたね。
お互いに心の軸にあるのがお互いの兄であり、だからこそ分かり合える、舐め合える傷がある、といった感じでしょうか。

樹も解りやすい性格ではあるとは思うのですが、根の深さ……というか、その拗らせ方はめぐみさんの方に若干軍配があがるように思うので(笑)まあ、めぐみさんからしたら、余裕で樹の苦悩なんてシンクロしてしまうのではないかしらと思ったほどでしたね。

兄が拠り所であるにも関わらず、しかもその両方の兄が、両手を広げて胸に飛び込んできてくれるのを待っているにも関わらず。
決してその兄に頼ることができない二人。
兄のために生きよう、兄の足枷には決してならぬように。
自らが兄の障害になる時には、喜んで命を投げ出そう。

樹はさらに、そのために常に毒を持ち歩いています。
その心をきっとめぐみさんは誰よりも理解しているし、そうして踏み込まれていることがまた彼の癪に障るというところまで、なんとなくわかってしまう。
だから矛盾した言い訳や、憎まれ口を微笑みながら受け流してしまうんですよね。
樹のルートは兄とは違って、めぐみさんだからこそ弟の方に惹かれた、ほっとけなかったというような雰囲気が出ていました。

「このまま眠りたい」
めぐみさんに髪を撫でられながら、こうつぶやく樹さん。

このシーンは、本当は理解者が欲しかった樹が、めぐみさんを認めた瞬間といいますか、そういうシーンなのですが、ここの樹さん、とても台詞運びが普段よりも子供っぽくてそれがまたとっても可愛らしくて素敵でした。

あと、このルートがおしゃれなのは「折り鶴」というのをモチーフに紡がれているところですね。
兄に恩返しする「鶴」というイメージで描かれている依存エンドはとても美しい。毒による心中エンドで、その辺りは予測の範疇ではあったのですが、本当は無心に機を織り続ける鶴になりたかったんだ、という台詞はとても切なくて胸がきゅっとしましたね。
何も考えず、感謝の気持ちだけを込めて兄のために働き続けられたならば、それはどんなに幸せだっただろうか。
まるで恋をした自らに罰を与えるようにして死を選ぶところが、とても樹らしくてよかったですね。



☆花柳街アナザー

たくよーさんは、どこまでめぐみさんを追い込めば気が済むのか(゚∀゚)

正直、PSP版からそのまま移植されていたアナザーよりも吐き気がするような依存ばっかりで私は……もう……どうしたらいいのか……と思いましたが、ありがとうございます、そんなたくよーさんが大好きです!!!!!!!!(二回目)

こちらは「もし神楽坂さんが、観光事業を軸におき、花柳街中心に経済回復を図ろうとした場合」というifの世界です。
商店街でそこまでの利益を出せていなかった月の畔は、とある政策の対象となり市からのお達しで業務停止に追い込まれます。
その後件の政策により、人出が圧倒的に足りなくなった花柳街での料理番という立場でめぐみさんが奉公することになります。花魁と同じように、年季が開けるまでは花柳街の外には出られなくなってしまうめぐみさん。唯一の拠り所であった兄、そして生きがいであった月の畔へも帰れなくなった彼女は――というお話なんでございますが。

もう、この島で何が起こっても不思議じゃないんだ……。

本編やらアナザーやらで、なんていうか舵を取った本人たちの、意図しない方向に進んでいく恐ろしさ、みたいなものを物語のどこででも感じられるから、もうほんと、この場所ならこうなりかねなかった未来というのが確実に見えるからね、全然不思議じゃないです。

無知な島民が、その政策の意味も知らぬまま自分勝手に振りかざす主義主張が、すでに腐っていたものをさらに腐らせていく、その過程をしっかりと本編でみているからこそ、こういう強行策に出てしまった物語を読んでも、そう違和感なかった……ですね。
つまりは、どうしようもねえ島民を管理することでしか、この島を救う方法はないんだ、むしろこれくらいやっても足りないかもな!みたいな感覚がプレイヤー側にもあるからこそ可能なifの世界、というような感じがして、ううん、と唸らずにはいられませんでした。


・神楽坂響

兄が乗っていた定期船が遭難、安否不明となったことがきっかけで、めぐみちゃんが死を選ぼうとする、という、もうこれだけですでに一寸先は闇なお話。
そこをなんとか踏みとどまる様に神楽坂さんがめぐみさんを導いていくというのが基本的な流れなのですが……。(もうだいたい予想できるよね)

このルートは依存ルートが秀逸。

「兄の死を憂えて自殺することは兄の生存を否定することになる」と窘め、兄以外のひとと関わることの大切さを学べという神楽坂さん。
その言葉の通り、めぐみさんは周りや神楽坂さんに心を開いていくのですが、依存ルートだとめぐみさんは兄が生存していたという知らせを受け取ることを拒否するんですよね。

兄が存命であったら、神楽坂さんは私を構ってくれなくなる。
この紅華楼で、私はひとりどうやって生きていけばいいのか。
兄の無事など聞きたくない。神楽坂さんにいつまでもそばにいてほしい。
この恐ろしい事実、つまりは依存する対象がいつの間にか神楽坂さんにすり替わっていたのだということに直面した時の、神楽坂さんの「しまった」感。
取り乱すでもなく、慌てるでもなく、ただ、ああ、俺はまた失敗したのか、という、あの感じ。
人を導くことで英雄扱いされておきながら、妹の時と同じ轍を踏んでしまう神楽坂響という人の甘さ。

いやあ……素晴らしかったです。

めぐみさんが兄の存命を聞きたくないといった瞬間、鳥肌が立ちました。
このシーンだけで、神楽坂さんが思う以上にこの兄妹間にある問題がとても根が深かったことを表現しているところは本当にすごいし、美しかったです……。

でも、この兄妹を引き裂いたのは、間接的にではあっても自分が提案した政策であって、だからこそすべてを甘んじて受け入れようとする神楽坂さんもまた、もう心が疲れ切っていますよね。こういう依存のされ方は、神楽坂さんでしか味わえないよなあ……としみじみ思うのでした。

ハッピーの方は、先生、先生!とひよこのようについて回るめぐみさんが可愛らしかったですよ(笑)
女生徒と、先生の恋みたいな雰囲気でしたね!うんうん(*´ω`*)


・望月理也

吐きそうだった、その①。

とにかく最もこのルートが素晴らしかったのは、望月理也という人にとって、神楽坂響がどれほどまでに大きな存在であったかを証明するようなルートであったことですね。
理也くんという青年が大好きなあかりとしましては、彼が紅霞青年団として働くことがない場合、これほどまでに心を殺した青年であったことが描かれていることに何故かいたく感動したのであります。

本編では、めぐみちゃんが「役立たず」のレッテルを貼られることを怖れ、壊れていったわけですが、このルートでは理也くんにそのお役目が回っています。
外からやってきた器量のいい娘の働きぶりは、嫌味のひとつもいいたくなるほど非の打ち所のないものでした。神楽坂さんの元にいない理也くんは酷く心を曇らせていて、そんな憎むことすら許させないほど隙のないめぐみちゃんに嫉妬を募らせていきます。
この嫉妬心に気づかずに、いつものように「螢さん」の真似をして、相手の喜ぶことをしようと努めるめぐみさん。

望月さんはすごいですね!望月さん、働き過ぎですよ、大丈夫ですか?
お仕事、私でよければ代わりにやらせてください。
この、めぐみさんの眩しいほどの優しさが痛々しい。
「俺の代わりがあんたなんかに務まると思うな」
本編の望月理也という人からは考えられないほど、度量の狭い台詞に悶絶したのは言うまでもありません。

この世界の彼は、何も見えていない。
めぐみさんの何も見ようとしていない。彼にとっては自己犠牲も自分のため。
結局自分のことしか考えてないんですよ。どこか矛盾しているけれども、この彼が本編での彼を裏付けているようで……本当に素敵でした。

ハッピーが、ようやく親友と呼べる関係性くらいのままで終わるところも美しかった。
あそこからが恋の始まり。情欲で抱きしめたわけではない、純粋な、感謝からくる抱擁のようなピュアさがあのシーンは詰まっていて、こういう幸せの迎え方もあったんだなあとほのぼの。(まあ本編の方がいいけど)

で、吐きそうなのは、依存ですよ。
なんですのん、あれ……。

あなたがこちらを向いてくれないならば、私はあなたの「家族」になる。
あなたを月と慕っても許される「家族」になりましょう。
彼にとって、守るべき家族とはすなわち春をひさぐ女たち。
売り言葉に買い言葉で、あなたがぼろぼろになれば(俺が笑いかけますよ)といった理也くんの言葉通り、彼女は料理番から花魁となってって――うう、ちょっとまってよ今書いててもなんかツライ。

片想いの相手に愛されるために、花魁になる女。
まるで、復讐するかのように自らの体をぼろぼろになるまで売る女。
客の男に散々抱かれたあとに、さらに理也くんと寝て、その行為によって傷ついていく理也くんを扇情的に見つめる女。
あなたのせいよと言わんばかりに。

紅華楼で働いてきた理也くんにとって、これ以上の復讐方法はないような気がする、というくらいのアレで……あまりのエグさに悶絶。でもめぐみさんはきっと復讐している気はない、でも愛と憎しみは表裏一体。

まさにこのことを言うのでしょうね。

しかもマッチ……あの、マッチを振った音で今日は部屋に後できてね、と理也くんに合図するあの妖艶さ……ほんと月影はルートのキーアイテムをシチュエーションに巧く使いますよね……惚れ惚れします。
しかもほらね、ああもういろいろ語りたいけど、まあとにかく。
なんだよこれ……っ!なんなんだよっ……!!!
と、呻かずにはいられない依存エンドなのでした。

花魁になったヒロインが禁断の恋に、ってところに呻きたくなるのではないのですよ。
理也くんが大好きな方ならわかってくださると思うのですが。
敢えてこの関係性の継続を望む彼も、やっぱり望月理也なんだなあと……ね。

まあでも、やっぱりそんなゲスいフリしてても上品なんですよね……台詞が。
どんな時でも。たとえ情事の最中でも。
煽り方が最高に色っぽい。最高です……。
ああでも、最高じゃない……ああもう、ただただ頭を抱えてしまいました。

ごめんなさい、望月ルートだけ異様に感想が長いですね。
だって大好きなんだもん。

・猪口渉


実は作中では最も(おそらく)いい男である猪口渉氏。

にも関わらず、どこまでも綺麗である(そこが恐ろしいのですが)本編の猪口さんに対して私個人としては若干印象が薄いのですが、今回のアナザーは結構その立ち位置こそが美味しい。

等しくありたい。そういう社会にしたい。

でも、どうしようもない限界も感じている彼が現実逃避として行うのが、花街でお金をばらまくこと。
この閉鎖された場所で客を取り続ける、より多くの女性たちに、一瞬でもいい、彼女たちが欲にさらされない、傷つかない時間をあげたい。花魁たちに好きなだけ好きなものを食べさせ、飲ませることによって優越感を得ることによって酔いしれる男のフリをしながら、傷をなぐさめているのは他でもない彼自身なんです。
不甲斐ない軍人を責めることなく、唯一自分が誰かを照らす「月」として振る舞える時間だったからなんですね。

女たちを優しい目でみつめながらも、どこかその向こうを見ている猪口さんに、決して泊まりであっても女を抱かない猪口さんに、めぐみちゃんは次第に興味を募らせていきます。

お金さえあれば自由になれる、そのルールに縋るしかない花街の女には決して理解できない猪口さんの苦悩。
ある意味で、高潔な悩みともいえると思うんですよね。生きていくために体を売る女たちには、理想からは程遠い自分を慰めるために湯水のようにお金を使う、その虚しさを理解できるとは思えない。そんなものに同情できるのは、きっと自らも理想に溺れそうなめぐみさんだけなのでしょう。

個人的に、猪口さんの夢の話が好きです。
三方向を死に囲まれているので、前に進むしかないが高い壁がある。
それに対して、ひとりじゃありませんよ、共に壁を越えましょう、支えましょうとめぐみさんがいってくれるのがハッピー。
いやいや、ということはここが終着点なんですよ、といってしまうのが依存でした。

ハッピーの二人は理想を背負うのが二人になったからこその強さを見せてもらいました。
依存は、もう前に進むことを諦めてしまった二人が淡々と死を選ぶ様が描かれていましたね。
ただ、あの死に方はツラいな……。
相手の名前を体に彫りながら、その痛みの中で意識を失っていくというのは、狂気の沙汰だと思います、正直……。

確実に傷つける方法で猪口さんが彼女の命を奪う、というシーンは、本編から猪口を見守っているとなんだか別のひとに思えてしまうくらい意外で、だからこそ、このアナザーがいかに最初から状況としてヒドイのかを物語っていましたね。
あなただけは傷つけたい。
飾りだけの剣を腰に携えて、言葉に力もなく、力で守ることもできない、家族すら幸せにできない、つまりは「何も」なさない軍人が、ただひとつできることがあるとすれば、愛する人を望み通り傷つけることだけなのだ。
めぐみさんもめぐみさんで、彼がその手で何かを変えるとすれば、私だけなのだという陶酔の中死にゆくシーンはやっぱり美しいのでした。

・榛名望

望は本編もとても好きだけれど、こちらの方も負けず劣らず……ううん、素敵!!!!

一目ぼれ(嘘をついた瞳にってところがやっぱり屈折してんなあ)という設定は同じではあるものの、彼は金にものをいわせて料理番であるめぐみさんに強引に自分という「客をとらせる」という暴挙にでるところが一番、望らしかったですね(笑)

まあ、私たちの目からみれば暴挙なのだけれど、金がすべてのこの街で、望の希望が叶えられないわけもない。また、ここで本編ではライバル扱いされている(笑)望月くんにわざわざ「客をとらないか」と言わせにくるところが、なんだかどきどきしますよねw

望はこちらでもやっぱりめんどくさくって、めぐみさんが自分のところまで堕ちてくるのを待つ罠を張り巡らせる策士さんでした。
望専属の花魁といっても過言ではない立場になっためぐみさんを、君の心が欲しいからという理由で望はいつまで経っても抱きません。
高価な贈り物、頻繁に訪れる望、望相手だけだとはいえかなり貢がれているめぐみさんに、他の花魁たちはその手練手管を教えてほしいとすり寄ってきます。さらには他の客もとらないかという打診がきてしまいます。
本当は綺麗なままで何も特別なことを望にはしていない生娘のめぐみさんが、この事実とみんなの想像の乖離が大きくなっていくことに恐怖を覚え焦燥感を募らせていくところはとても私も怖かった。

自分のあずかり知らないどこかで勝手に大事な何かを動かされてしまうような。
その予想はあながち間違いではなく、すべてはこうなるように望が仕組んでいることだったんですね。

君の心を手に入れるためには、これしかなかった。
僕って卑怯でしょ?

そのスタンスは、やっぱり変わらない。
というか、むしろこのアナザーパターンの方が、ある意味王子様的なんじゃないかとさえ思ってしまうのですよね。
檻の中で必死に生きようともがく鳥を、捕まえやすいようにさんざん羽ばたかせてから、弱ったところをそっと連れ出す。
「檻から救い出す」というという結果は変わらないでしょ?
だから僕は君の王子様でしょう?
そういいながらも、彼は自らを卑怯者だと臆病者だと認めるいい人なんですよね。
そこが、やっぱり好きだな。

望にしてはあっさりした依存だったような気がしますが、こういう出会い方をしたのであれば頷けるかな。
望は結局死に場所を探していたのだし、ね。
そういう意味では、依存だけ見ると、彼は「道連れ」として彼女を欲しがっていたのかもしれないですね。


・大井川護

吐きそうだった、その②。

政策によって引き裂かれた兄と妹にとって、この世は生き地獄だった。
ただ、お互いに距離を置いたからこそ、離れたからこそ、恋愛感情を認めるきっかけにはなったのだけれど、そこから耐えるか、壊れるかによってハッピーか依存かで別れるお話は、ある意味どちらも吐きそうなほどツラかったです。

たぶんこの中では一番短かったんじゃないだろうか。
というのは、彼は花柳街に入ることを許されない存在だからですね。
だから、手紙でお互いの無事を、兄妹の絆を確かめ合うしかなかった。

便箋の余白が語るもの、ペン先の震えが語るもの、文の行間にかくされた本音。
ずっと一緒にいたからこそわかる、その心の叫び。
必ずまた一緒に暮らそう。
そう約束したのはいつの頃だったか。
働いても働いてもめぐみを迎えにいけるだけの資金がたまらない護の歯がゆさ、いやそれを通り越した絶望が伝わってきて、本当に苦しかったです、このルート。

確かハッピーの流れなのだけれど、有り金はたいて客として会いにいってしまうんですよね、護。
めぐみさんは気丈に「元気だよ」と伝え続けていたのに、兄だけには彼女が紅華楼でいじめられ、苦しい思いをしているのをひしひしと感じていた。
それに対して「お前を心配して来たんじゃない、俺が逢いたかったんだ!」と、溜めていたお金をこんな一夜に浸かってしまう浅はかな俺を赦してくれとばかりに崩れる兄ちゃんのとしての限界をそこに見て、ああ、やっぱり彼は19歳なんだなあと思ったんですよね。

もう無理だよ。これ以上は。
精神衛生上よろしくないよね。
護だって、まだ19歳なんだよ。
そんな年頃の娘を持つ父親のフリなんて、しなくていいんだよ。

肉体的な意味ではなく(乙女ゲームキャラにしては珍しく肉欲なんてものを抑え込む時期なんてとっくに通り越してる感じがするキャラなんですよね、特に護は)「めぐみの兄」であり続けようとする病的なまでのストイックさがこうした抑圧された状況で、一瞬にして燃え上がって炭になってしまう、そんな雰囲気がルート全体にあってよかったです。

で、ですよ。

なんなんです、あの依存エンド。
リアルに声が出ました……。

エンド章タイトルは「大人の世界のいきどまり」。

まさに子供じゃいられない。

花柳街に騙されて売られていく少女の手を、正義感だけで奪い取って手を引くことが出来た少年は、やがて大人になり「責任」の取り方を知ってしまった。
少女もまた、紅霞市民として花柳街で奉公をするという責任を背負う大人になった。
また、奉公するうちに少しのきっかけが命取りとなり、紅華楼の中で疎まれる存在になっているということに気づかないほど子供ではなかった。

ただ、ただ、いきていくのが辛い。
兄が、妹が、共に生きられる未来が見えない。
未来がないのであれば、夫婦や恋人、さらには兄妹という形にすら拘る必要すらない。
あいまいな情で繋いだこの関係性のまま、共に生を終えてしまおう。

兄は妹を絞め殺し、紅華楼を妹の遺体と共に外へ。
その腕に亡骸を抱いたまま螢さんの位牌もろとも、月の畔に火をつけます。

スコップの音を響かせながら、兄妹を弔う神楽坂さんと望月がする会話の悲しさは、おそらくこのFD随一だと思います。

心中をするものは、幸せそうな顔をして最期を迎える。
この二人は、どうしてこんなに辛そうな顔をしているのだろう。
何もわからない。
ただ言えるのは、人生とはどうしてこうも難しいのだろう。
間接的に人を殺したと自覚したこの命で、己はどこまで意地汚く生きるのだろうか。

何の罪もない兄妹が、慎ましく暮らすことすら許されない。
誰も幸せになれない、この島になんの価値があるというのだろう。
女たちの体で金を稼いで生き繋いでいくことに一体なんの意味があるのだろう。

それでも、朝が来ればまた、歯車を回すために仕事に忙殺されていく毎日。
その、生き地獄をまざまざと見せつけられるようなエンディングに、呻かずにはいられなかったのでした……。


……ってここまで書いてきて思った。

ごめんね!!!

依存エンドについてばっかり書いた!!!!!(笑)

でもそれが、月影の鎖の醍醐味だから、これをお読みのお嬢様方は許して下さるだろう……!!

わ、私、みんな幸せにしてあげたいと思ってるんだよ!!!!
でも、同時に同じくらい不幸な顔もみたいんだ……それが本音……。
本音……。


やっぱり月影の鎖、最高でした(゚∀゚)

あとはゆっくり特典CDきこーっと!!!





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